最近金融界を騒がせたビッグニュースといえばNTTによるドコモの買収ですね。このTOBによってNTTドコモは近々東証から姿を消すこととなりますが、TOBには我々一般投資家にも儲けのチャンスがあるのです。
また筆者にとってNTTドコモは多少思い入れのある企業でもあるので、とりとめのない思い出や今回のTOB案件に対する投資姿勢も含めて記事にしました。
ちょっとした思い出話
大したことのない話ですが、オチのない昔の話など…。興味のない人は飛ばしましょう。
1998年 上場のニュース
もう20年以上前のことになります。当時学生だった筆者は家でぼんやりとテレビを見ていました。そのときドコモ上場のニュースが流れました。
アナウンサー「本日NTTドコモが上場しました。初値は数百万でした。」
経済評論家「いや~ 思ったより高いな、という印象ですね」
※今調べたら460万円だったようです
凄いビッグマネー!それで、ジョージョーってなんだっけ?と思ったのを覚えています。
まあ健全なるアホ貧乏学生だった筆者がそれ以上の興味を示すはずもなく、まあそんなもんなのかと気にも留めていませんでした。
2000年? 株価にびっくり!
その数年後だったと思います。経済ニュースか何かでまたドコモのニュースがやっていました。
アナウンサー:「NTTドコモがかなりの高値をつけましたね。今日の終値は数百万です」
経済評論家:「いや~ ついに来たという感じですね~ てか分割してますからね~ 上場の時よりすごく高いんですよ 1000万とかの上げですね」
※過去の記憶のせいで細部は適当です
こんな感じの会話を聞いた若かりし筆者はびっくりしました。
「あのときの株がこんなことに?評論家は高過ぎって言ってたのに。ジョージョーの時買った人は超リッチになったんだな。。うらやましい!俺が毎月払ってる携帯代が投資家に流れてるんだな。これは資本家による搾取だわ。階級闘争だ!ああ、、、しまったわ。あの時俺もなんとかして株買えばよかったわ!ジョージョーのニュースも見てたのに!わーん!」
生まれて初めて株の機会損失というものに悶絶した瞬間でした。元手も、買う気も、そもそも口座すらなかったくせに妙に悔しい思いをしたのを覚えております。
21世紀 すったもんだがありました
その後ITバブルが崩壊し、株価は鳴かず飛ばずの状態が続き…紆余曲折を経てその幕を閉じることとなりました。
上場の日を覚えている銘柄の廃止。
一つの歴史を見届けた感があります
ドコモはポイント乞食の思い出も多く、ドコモショップ店員さんとも悲喜こもごも。色々ありましたが詳細は割愛…
別にTOBでドコモが消滅するわけではないし全く何も変わらないと思いますが、一つの節目ですね。筆者は正直ドコモに食わせてもらっていたような時期もあるので、9437回お礼を伝えたい気持ちもございます。
買収後も乞食に優しいドコモでありますように・・・
総務省の圧力にも負けるなよー!!
親会社と一緒に これからもがんばってね!
TOBの概要
さてさて、思い出話はこのくらいにして本題。
筆者はTOBの経験がなくM&Aアービトラージも実際にはやったことがありません。そのため法務・実務的なことはよくわかりませんが株価の流れをざっくりというと
・9月28日 NTT 終値2775円のドコモ株を3900円で公開買付発表
・発表を受け、3900円ラインに吸い寄せられるようにドコモ株が急上昇
・現時点では3880円くらいで売買されている
・発表後はジリジリと3900円ににじり寄る動き
・11月16日 TOB応募終了
勘のいい人というか、大抵の人はピンと来るはずです。
・市場で3880円で買ってNTT(親)に3900円で売れば確実に儲かる?
・というか、なんで3900円で売れる株が3880円で流通しているの?
確かに。
もし資金の続く限り1000株、10000株・・と買い集めれば、僅か1か月ほどで
3900÷3880 - 1 ≒ 0.5%
の運用益が得られます。年利1%を目指す筆者としては、もう喉から手が出るほど欲しい水準。
1か月で年間ノルマの半分が進みますね!
というか数日前まで3870円台だった気も。
このようにすぐさま3900円に張り付かない理由は2つあるそうで…
- 公開買付の事務手続きが手間だからその分安くなっている
- 万が一TOBが不成立になったら株が大暴落する可能性あり
1つ目は問題なし。2つ目が大問題です。
万が一TOB不成立となれば、現在3880円の株価はTOB発表前の水準、つまり2775円あたりを目指して急落することが予想されます。
やるか、逃げるか?
このTOB案件、考えなしにパックンチョしてはいけません。しっかりとリスクとリターンを見極める必要があります。
例えば筆者が人生かけてコツコツ貯めた貯金を今のフルパワーで投入する場合、、、
5044万円分を購入し、5070万円のTOBに応じ、差し引き26万円をコジる…という壮大な計画となります。
TOB不成立の時はこの計画がとん挫します。ただNTT(親)は元々超大量のドコモ株を保有しており、状況からみて不成立となる確率は実質ゼロ。期待値的には
不成立の確率が0.5%より低ければお得
となるわけですが、0.5%よりずっとずっと低そうであります。
これはもう行くしかないか!?
永遠の自問自答
理論上は行く案件だと思います。専門外でまだ薄くしか学んでいませんが、このTOBは確実に成立するはずです。期待値は大幅プラス。でも多額の1発勝負の時に期待値を持ち出すのはズレた考え方でしょうね…。
万が一の万が一不成立の場合、手持ちの13000株が@1200円程急落
1560万円の損失を被る
ヤバイ。でもこれは杞憂です。大丈夫です。成立しますから。
大丈夫ったら大丈夫!
でもでも…もし1560万円を失ったら僕はもう立ち直れません…
長年かけて進めたリタイア計画も破綻です><;!
いや、やっぱり26万円は欲しい!絶対大丈夫なんだし怯えることはないよ!
うーん でも1560万円のリスクはさすがに…!
どっちやねん!?
堂々巡りの自問自答が続きます。
というか、多分1日、また1日と平穏無事に過ぎるから、株価がジリジリと3900目指して上がってるんですよね。これってやっぱり相当のリスクがある証拠なんじゃないの?
しかし答えも出ませんので、頭を冷静にするために例え話を考えました。
TOB投資は飲酒運転に似ている…かも
<脳内例え話>
・お金持ちのM澤友作さんがツイッターをしました
・「今から5分以内にM澤の家に来た人に 26万円差し上げます!」
・自分の家からM澤さんの家までは2キロ
・車なら3分、徒歩なら30分かかります
・よって車以外の選択肢はありません
・しかし運悪く、自分はビール2本を飲んだところでした
さあ、どうしよう?
間に合うように車に乗ると飲酒運転になります。しかし飲酒運転事故件数、日本全国で年間4000件です。1日約10件。単純化して人口比でみたら今日加害者となる確率は1200万分の1。極めてに低い確率です。
しかも今回の移動はたったの2キロ=3分だけです。慎重に運転すれば事故確率は完全にゼロとみなせます。
大丈夫さ。事故さえ起こさなければ誰にも迷惑は掛からないし、26万円をもらえる大チャンス。
でも万が一、人を轢いてしまったら・・・?
これはもう最悪です。僕も、被害者も・・・。もしかしたら命さえ失われるかもしれません。
うーん、やっぱり心配しすぎかな?2キロだけですよ、2キロ。
・・・さあ、車のキーを回そうか?
やはり無理です><;!
どんなに微小確率でも、期待リターンが高くても、リタイア求道者には取ってはいけないリスクというものがあるのです。飲酒運転はいたしません。
結論:ドコモTOBは専守防衛投資ではない
このたとえ話を経て、微小確率で破滅級のダメージを食らうTOBサヤ取りは専守防衛投資ではないという結論に至りました。
本当にありえない話なのですが・・・例を挙げれば・・・
NTT、政治絡みの大不祥事! 文春砲がすっぱ抜いてTOB延期!
まさに天変地異クラスの不運・・・
でも一応起こりうるのです。起こらないけど、起こりえます。このダメージは即死クラスで、優待クロスやIPOやコジ活とは全く性質が異なるわけです。
投下金額を1000株や100株に減らそうが本質は同じこと。思考を薄めたにすぎません。
儲けは惜しいけどこの案件は流そうと思います…!
なお誤解なきように書いておきますが、このTOBは投資としては普通に優秀な案件なのだと思います。かのウォーレンバフェットも資金の行き場がないときはM&Aアービトラージで稼いでいたと読んだことがあります。バフェット翁は今回の場合だと
ドコモ売り NTT(親)買い
みたいな裁定取引をしていたらしいです。
おそらくこういう局面で躊躇なく突っ込めるタイプの人がすごいスピードで億り人になるのでしょうね!臆病な僕は指をくわえてみているだけにします…
きっと逃げてもいいんです。そう。僕は慎重な男。
~甲子園決勝~ まさかの全打席 見逃しの三振
ユニフォームに一点の汚れなし。これが俺の行き様ヨ!!
たまにはバット振れよ!
・・・陰ながら円満なる買収を祈っております。
買わないと決めたら少しだけ「不成立になったら面白いのにw」と思う正直マンより