日本人を貯蓄額で人口比で10階級に分けてみた結果です。
その経緯や詳しい算出方法は前回記事の通りです↓↓
純資産額分布図
前回記事でに独自算出した純資産額の推定分布はこのようになりました。
この分布図は貯蓄無し世帯を含み、かつ資産から負債を相殺した純資産額を示したものです。日本人は貯蓄好きと言う割に、借金を相殺したら資産がマイナスになる人が非常に多いのが驚きですね。ただしデータが手に入らず一部に推定があるので、当たらずとも遠からず・・・くらいの精度ではあります。
念のため、十分位というのは全体を資産の多い順から10%ごとに区切ったものです。この図だと4189万円の純資産を持つ世帯は上から10%の順位に当たるわけですね。
では、ようやくこのデータができたので各階層の解説をしていきたいと思います。
第10~第8階級:借金超過層(ー209万円以下)
第10十分位~第8十分位。つまり下位30%の人たちです。タイトルでは10階級に分けるとしていますが、この3つの階級の実態は同じです。
債務の多くは住宅ローンだと推測されます。金額の多寡はあれど全員が債務超過しており、それは利付きの債務でしょう。
「金利と複利」という強力なシステムを敵に回している階級
と言い換えることもできます。とてもマズいことなので赤字で書いています。
ところで不思議なことに、ある程度貯金があるにも関わらず同時に借金を抱えている人も多くいるようなのです。
合理的に考えれば、借金の金利以上の運用益を得られないなら、今日にでも銀行に行って資産と負債を相殺すべきです。突発的な出費への備え・・と言っても何百万も必要なく、日本には高額医療制度も充実しています。とにかく貯金も給料の残りも全て借金返済に充てるのです。
繰り返しになりますが、この層における最強の資産運用は借金返済に他なりません。住宅ローンだと年利1~2%? 他のローンだと2~3%以上?この金利分を絶対確実に稼げる運用法は日本にはありません。いや、ないことはないですがかなり特殊な技術を要します。逆に言うと、富裕層はこの水準の金利を稼ぐために血眼になって投資先を探しているのです。
体感の話で恐縮ですが、妙に無駄遣いが多いのもこの層だと感じます。まずはパチンコも外食も一切絶ち、キャッシュフローも改善してマイナスから抜け出しましょう。
煽っているわけではなく、あなたが次の1分間で読むべきものはこの記事の続きではなく、銀行や消費者金融の繰り上げ返済相談窓口です。 とにかく急ぎましょう。
第7階級:ゼロ層(-209万円~79万円)
第7十分位。
借金はかなり減り、人によっては数十万円の純資産を持っている状態です。日本人の上位60%~70%に当たります。つまり、もしあなたに借金が無ければ、その時点で少なくとも日本人の上位65%以上にランクインしています。「貯金ゼロ」もそう捨てたものではありません。
ここから借金人生に転落するか?コツコツ貯金を始めていくか?大きな分かれ道になるのもこの層だと思います。このレベルでは元手が多くないので資産運用の効果は薄いです。手間暇かけても短期間ではほとんど利益が出ないはず。まずは少しづつ積立をするとか、時間を味方に付けるクセを付けましょう。
30万円が1億円!中卒でもできたFX投資!
この手の話は全部ウソか、又は再現性がありません。情弱ビジネスです。
多くは給料を貰っては使い、貰っては使いの生活でしょう。逆に、数百円・数千円の節約が大きな効果を生むレベルでもあります。
どうしても収入を増やしたいなら、元手が無くてもお金が増えるいわゆるネット乞食などがお勧めです。当ブログでは紹介していませんが、最近は数万~数十万程度ド派手に儲かる案件も多いので血眼になって検索し情強になりましょう。プライドなんて全部捨ててネット乞食の収入やクーポンを生活に充て、給料を貯蓄していけば割と早めに上位層に成り上がれるはずです。とにかく銭ゲバになって1円でも多く金の壁を築くのです。
第6階級:下位中間層(79万円~433万円)
第6十分位。
数百万円の純資産を持っている層です。頑張ってお金を貯めてきたおかげで日本人のほぼ中間に近くなってきました。
目的があって貯金をしてきた人も多くいると思いますが、この辺りから手間暇かけて資産運用してもペイされるころです。お気に入りの企業を見つけて個別株をやるもよし、ETFに積立てるするのもよし。
私的には、このくらいの資産があるなら優待クロス取りが最強です(優待クロスってなに?という人の為にまた詳細にブログで紹介したいと思います)。おそらく優待クロッサーの中で最も高利回りを叩き出せる資産クラスです。うまくクロス優待を取得できると完全ノーリスクで食事券やクオカードが手に入るので、楽しく稼いで食費を浮かせてどんどん貯金しましょう。
関連記事
絶対儲かる!専守防衛的投資優待クロス取引とフリーランチのお話
あと、ふるさと納税も絶対に押さえておきましょう。数万円~程度の現金を1年寝かせることになりますが、こちらでも実質無料で莫大な食料が手に入ります。
第5階級:中位中間層(433万円~896万円)
第5十分位。
かなり貯金が貯まってきました。あなたは間違いなく日本人の半数よりも金持ちです。かなり金融リテラシーもある人だと思います。車を買うのにわざわざカーローンで高い金利を支払うこともありません。
クロス取引の話ばかりで恐縮ですが、このくらいの資本があると100万円程度の大型の優待クロスを組めるので選択肢がかなり広がります。また、個別株を買う時でも複数銘柄に分散できるので有利になります。 資産運用が滅茶苦茶楽しくなってくる時期です。
さらに、500万円以上貯まってくるとFXのスワップアービトラージという手法が良い感じに使えるようになります ※ 2020/6/28追記 スワップ情勢が変わり現在は困難!
こちらも詳しい内容はまた記事にしようと思いますが、ほぼ元本保証と見なせる形で月に1万円前後稼ぐことができます。
運用で稼げる量はまだまだ少ないですが、資本の果実を確実に享受できる層です。
第4階級:上位中間層(896万円~1557万円)
第4十分位。
層内の金額幅がかなり大きくなってきました。これはすなわち、ごぼう抜きで周りの資産額を追い抜き通過しつつあることを意味します。1000万円前後を貯めたということは、かなりの忍耐力と知恵があったということでしょう。生活もかなり楽なはずです。
私事で恐縮ですが、私自身はブラック企業社員なので1000万円は精神安定剤となり、メンタルが結構改善しました。その気になればこれを元手にビジネスを始めることもできるし、社会で一人で戦うための最低限の戦闘力を得たとも言えます。
資産運用は、まだまだ優待クロスで戦えます。効率を求めるあまりに小型クロスを取りまくり、大量に送られてくる優待券(俗称:郵便爆弾)に後悔するのもまた一興。
もちろん普通にリスクを取って運用してもOKです。もはや資金不足で買いたい銘柄が買えない・・・ということはありません。
第3階級:最強中間層(1557万円~2532万円)
第3十分位。
かなり凄い金額です。地方なら家をキャッシュで買えるかもしれません。中間層としてはもはや最強クラスですが、せっかく貯めた2000万円前後のマネーを家に散財することはあまりお勧めできません。
機動性キャッシュはここからさらに上昇するためのジェット燃料だ!
続けて堅実に貯金しつつ、このキャッシュを右に左にと動かして資本の果実をゲットしていきましょう。
資産運用は、流石に優待クロス一本では苦しくなってきます。効率のいい優待銘柄は取り尽くし、むしろお金が余るようになってきます。しかしまだまだ上位30%。リスクや年齢を考慮しつつ、一般的な投資にもお金を振り分けて増やしましょう。
第2階級:駆け出し資本家層(2532万円~4189万円)
第2十分位。
野村総研のいうアッパーマス層に成り上がる時期。
私の場合にはこのくらいの金額を持った時から徐々に労働者マインドが抜けていきました。「老後資金2000万円貯めよう」という政府の発言に、特に怒りを覚えることもなくなってきます。「資本家」というには心もとない金額ですが、心理はかなり資本家寄りになってきます。リスク性商品に投資していると1日で月給分が動くことも珍しくなくなり、年間の貯金額は運用結果に大きく左右されるようにもなります。
人にもよりますが、ふと「もう会社を辞めてちょっとのんびりしようか」という選択肢が頭をよぎります。裕福な生活はできなくても、人生に疲れたらセミリタイアに方針転換できるかもしれない金額でもあります。
クロスクロスとしつこいですが、堅実運用としての技巧的な優待クロスはもう厳しいです。資金全額を使い切るには効率の悪い超大型鉄道株などに手を出す必要があるためです。
ここまでくれば皆さんはリスクとリターン、投資についても熟知しているはず。もう何も申し上げることはありません。
第1階級:修羅の層(4189万円以上)
第1十分位。
銭に踊らされず、銭を躍らせてきた猛者たち。「資本家層」とでも名前を付けるべきところですが、理由あって「修羅の層」と名付けました。
本気を出せば家をキャッシュで買ったり、欲しいものは大抵ポン!と買うことができます。しかし地道にお金を貯めてきたから今の地位があるのも事実。
日本人の上位10%かつ今回の定義の最高位。もう天井はありません…がゴールでもありません。ここから先は無限に銭を積み上げ続ける修羅の道。あなたはこれからも永遠に戦い続けて天まで札束を積み上げるのです!
でも、お金は手段であって目的ではない
ゼニの道にいつかは見切りを付けなければ不幸になりそうです。
あと一応この層には、全然修羅と違う人たちとして、定年退職した60代~70代も多く含まれます。積み上げたものを徐々に下ろしていくことを目指す層でもありますね。
この先、修羅になるか仏になるかはあなた次第。
私自身はもう金集めにも仕事にも疲れたので、修羅道を突き進むつもりはありません。お金があっても心が平穏でなければ意味がないですから。
まとめ
おさらいです。日本人の純貯蓄額を人口比で10分割すると下記の通りとなりました。
- 借金超過層×3層(マイナス209万円以下)
- ゼロ層 (マイナス209万円~79万円)
- 下位中間層 (79万円~433万円)
- 中位中間層 (433万円~896万円)
- 上位中間層 (896万円~1557万円)
- 最強中間層 (1557万円~2532万円)
- 駆け出し資本家層 (2532万円~4189万円)
- 修羅の層 (4189万円以上)
これらの層にそれぞれ全て同じ人数が属しており、特に0から1000万円辺りの範囲はかなり刻まれています。よってハードルとしてはちょうどいいものになっているはずです。
この十分位を一つ一つ上ることを目標に定め、達成感を味わいながら貯金していくのも良いのではないでしょうか。
辞めるマンさま
丁寧にお返事くださり、感謝申し上げます。
非常に参考になります。
「別の視点、持ち家というのは自分自身が保有する投資用不動産を自分自身に貸しているとも言える」、
この視点を持ったことはありませんでした。確かに、その通りですね。
いかんせん不動産というのは地域によって価格差がありすぎて各人の保有資産として計上したものをデータ化することが難しいのでしょうか。
とにかく、「負債1650万円」と「資産1350万円」では、字面の時点で大きな違いあるので、少し勇気付けられました 笑
追伸:
貴殿の書かれた他の記事も拝見しました。解りやすくてとても面白いです!
昭和生まれの記事とか、結婚のコスパの記事も…。
私はおそらく貴殿の2~3歳年下です。「めっちゃわかるわ~‼」の連続でした。
これからもブログ執筆応援いたします!
>がんも様
ブログをお読みいただけありがとうございます!
この記事の一つ前の算出編では、https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2019_gai4.pdf
にある総務省の統計等を参考にして独自算出したのですね。この元の資料では不動産価値が含まれていなくて、あくまで「貯蓄」「負債」の調べなのですね。事の発端だった野村総研の資産階層も保有不動産価値を含まないようなのですね。
なので、「貯蓄」の定義上は現在は後者の-1650万ということになり・・・何かの事情で家を売り払って現金化したらいきなり+1350万になるということになります。
おっしゃる通り不動産や、高く売れそうな車等の動産とか、いわゆる「現金同等物ではないけどもその気になれば換金できる資産」が除外されてしまっており、特に持ち家の人は実感覚と乖離します。
別の視点、持ち家というのは自分自身が保有する投資用不動産を自分自身に貸しているとも言えるので、実は家も投資可能資産の一つである…と解釈して、頭の中では含めて考えちゃってもいいと思います。
本当は保有不動産の現在価値も含めた表があれば良いのですけど…。おそらく記事のグラフがググッと右に寄っていくと思います。
はじめてコメントさせて頂きます。
私も微弱ながら、貯蓄・運用に取り組んでおります。
そして、兼ねてより「今、自分の資産額は人口分布の中でどのあたりなのだろうか」という興味があったのですが、なかなか知る機会がありませんでした。
そんな中、貴殿の記事に辿りつきました。
ひとつ、質問させて下さい。
私の資産と負債の構成は以下のようになっています。
金融資産:750万円
不動産:3000万円(※1)
負債:-2400万円(※2)
(※1)5年前に新築で購入した自宅マンション。同じマンション内で売り出されている部屋が3000~3200万円くらいなので、不動産価値を3000万円と見積もっています。購入時は3100万円でした。
(※2)住宅ローンの残高です。
この場合、私の資産総額は自宅マンションも入れて
750万円 + 3000万円 - 2400万円 = 1350万円
と考えるべきなのか、
自宅マンションは除外して
750万円 - 2400万円 = -1650万円
と考えるべきなのか、解らないのです。
自宅マンションを除外してしまうと、負債1650万円ということになってしまい、現実と乖離がある気がしますし・・・
貴殿のお考え、アドバイス等をお聞かせ願えれば幸いです。
長文、失礼致しました。
参考になります。私は3700万が純資産ですがほぼ全て金の現物で所有しております。
3年以内に金価格5倍程度になると目論んでおります。この道の研究?28年です。
多分そうなるでしょうが、金。銀の現物がマーケットから入手が困難になりつつある昨今です。