下記記事の続きです。
前回までの記事で、アメリカのFIREムーブメントの手法を日本の指数で再計算した結果がこちらです。
日本でも逃げ切り成功確率90%を誇りましたが、実は大きな問題点がありました。
成功率90%でもほとんど失敗しそうな理由
下は僕が試算した日本指数版FIREムーブメントの株式75%債券25%戦略において、任意の月から望む期間(20,30,40年)だけ投資した全パターンを、逃げ切りの成否で色分けしたものです。
投資期間30年とする場合の失敗確率10%は、赤色の時にリタイアを始めた部分によるものです。
この図は、例えば1972年から30年間投資する戦略を取った時には赤、すなわち逃げ切れなかったです、という見方をします。グリーンの時に投資を始めた人は逃げ切りです。
1961年頃や1972年頃のの僅かな失敗期間はそれぞれ岩戸景気の景気後退時、第1次オイルショックが原因です。
退職願を叩きつけた早々にこんな不幸に巻き込まれてしまった「本当にツイてない人たち」です。
これはある意味仕方がない面があるのですが、最大の問題は1986年以降が全て失敗に終わっている点です。
一過性の景気後退ではなく、1980年代後半に投資を始めた人から、明らかに風向きが変わっています。
バブル景気崩壊以降の失われた30年を投資期間に定めた人はは逃げ切り失敗ばかり。他の2つとは比べ物になりません。悲惨です。
90%の成功体験のほとんどは、大昔の景気拡大期に得られたものだったのです。
株式100%のケースではもっと露骨にこの現象が現れます。
20年間耐えるプランの最近の失敗率はやばいです。
そもそも生活資金25年分を用意してリタイアしているので、本来ならばリタイア期間20年ならば生存確率は100%で当たり前、むしろお金が余るはずなのです。しかしバブル後は満足に20年間逃げ切る事すらできませんでした。
30年と40年のプランも20年プランをある程度追従するので、この先はおぞましい結果となっていくはずです・・・。この未来にはITバブル崩壊やリーマンショックが2段構えで待っています。
このように、バブルを挟んで完全にリタイア環境が変化してしまいました。これではFIREムーブメント戦略など怖くて適用できません。
これからリタイアする僕たちの未来は、1980年代までの景気拡大期の続きではないのです。
運の悪い人から学んだこと
ところで、先ほどの図には高度成長期なのに不幸にも資金が枯渇した人がわずに存在しました。
リタイアしたとたんに運悪く「岩戸景気後退」や「オイルショック」に巻き込まれてしまった人です。このことも僕たちのリタイア方針に教訓を与えてくれます。
下の図は1961年7月にリタイア開始した人と1961年8月にリタイアを開始した人たちの未来です(株100%戦略)。投資を始めたときを縦軸の100として、そこから30年の変化をグラフにしました。インフレは調整済です。
なんと。
僅か1カ月の違いで前者は23年後に借金生活、後者は逃げ切り成功です。
これは最初の1カ月で日経平均が 1742→1602 に8%ほど下落したことのみが原因となっていす。リタイア後にいきなり8%の資金を失った前者は、その後復活するための資金が十分ではなく資金枯渇してしまいました。
ちなみにそのわずか2か月後の1961年10月に投資を始めた人の場合・・・
超ラッキーです。資金をほとんど減らさず30年間暮らしました。120%完璧にリタイア成功しています。
7月と10月の違いというほんの少しの開始時期の差で天国と地獄となってしまいました。
他人事ではない
今はアベノミクスが絶好調。リタイアブログにも景気のいい話が多く、「リタイア後1年経ったのに株で逆に資金が増えた」みたいな話も多いです。
しかしアベノミクスがいつ後退を始めるのかは誰にもわかりません。ピーク時にリタイアしたら終わりです。
これからリタイアするにあたり、誰しもが岩戸景気のアンラッキーマンになる可能性があります。そしてその可能性は思うよりもずっと高いはずです。株価だけが不自然に高くなっているのですから・・・。
リタイア者は資金枯渇を絶対に避けなければなりません。他に収入がないのです。
資産の大半を株に投じることはリタイア開始時期のギャンブル性が高過ぎるため、て全くお勧めできません。
どうしても株式で逃げ切りたい人は少しずつ資産を株式に変換して時期分散を図り、上記のリスクを低減すべきです。
というわけで、どうやら米国のFIREムーブメントを日本に移植すること夢物語のようです。
ですが・・・FIREムーブメントの日本指数再計算には意外なお宝が潜んでいました。
それは元本保証の債券100%型プランです。
続きます↓↓
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