最近ガイアの夜明けで放映された、大戸屋の残業時間やパワハラ問題が炎上いるようです。
私も見ましたが、放送内容の概要は以下。
- 法改正で定められた残業月45時間以内に収める努力を追うドキュメンタリー
- 出演する4つの店の店主の残業時間はおおむね70時間から90時間程度
- 残業時間を減らす努力がないと社長が店主を叱責する場面あり
- 最終的には45時間以内に達成。カット肉の採用、仕込み作業効率化などが功を奏す
こんな感じでした。
本件について、ガチブラック企業に勤務する筆者の意見を述べます。
大戸屋の残業時間
テレビ放送を見る限り、本当にかなりの残業をしているようです。おおむね月70時間から90時間程度。
ある店主は「残業が削減されたらローンが払えない」と言っていましたので、残業手当は一応出ているみたいです。
さて、ブラック企業を論じる上で絶対に見落としてはならない点があります。
残業時間が長いと言う事のみではブラック企業にはならない
という点です。
たとえ月200時間や300時間の残業強いられたとしても、すべて残業代がついたらそれは単なる「忙しいホワイト企業」ですよね?もちろんお金が貰えても残業なんてしたくないという人だって多くいます。しかし、支払いの有無で評価は大きく変わります。
残業の割増賃金を少なめに見積もって1時間2000円だとしても、200時間残業なら40万円ゲット。月300時間なら60万円の残業代を手に入れることができます。残業単価の高い人ならもっともらえますし、基本給と合わせれば誰でもあっという間に年収1000万円を超えることができそうです。
多額のお金が欲しければ体を壊すのも覚悟の上、むしろ自分から飛び込みたいと思う人すらいるはずです。外科医とか戦略コンサルってこのイメージですよね。かなりの激務だけどそれに応じた報酬も出ている・・みたいな。
基本的に労働時間に応じた支払いがある場合、雇用者にとっても労働者にとっても残業は正当なビジネスです。
この点で、大戸屋は残業代を支給しておりブラックではありません。立ち仕事ですので70時間~90時間でも肉体的に相当疲弊すると思いますが、精神的には本人にとってさほど辛くないはず。むしろある店主は「残業がなくなると生活が辛い。もっとやりたい」と言う店主もいました。本人は労働時間が長いこと自体はさほど問題視していない様子です。
強制長時間サービス残業=本当の地獄
しかし、残業代が出ない場合は全く話が異なります。これは本当の地獄であり、完全なるブラック企業の烙印を押すことができます。
例として私の勤務するブラック企業。
残業代は一律数万円以上は出ないようになっており、たとえ200時間、300時間残業させられたとしても報酬は一律月3万円程度とかになります。無理やり割り算すると時給100円から200円ですね。
サービス残業をしたことのある人はわかると思いますが、支払いが無いというのは精神的に本当につらいです。無給で働いている時間は完全なる奴隷であり、自分の人生にとって何の意味もなく、ただ搾取される時間を過ごし続けることになります。せめてお金という形で苦痛が報われればどれほど良いことでしょう。
実際に私は月100~200時間で、これまでの最悪の時は300時間ほど残業させられました。300になってくるとほぼ毎日夜中の2時帰りまたは徹夜となり、休日の半分以上もほとんど会社にいることとなります。これでほぼ無給なのだから最悪です。
実はこういうサービス残業が続くと、肉体より先に精神がやられるんですね。もし残業代がついていたら多分精神面は持つと思います。少なくともやっていることに意味は発生し、単なる「辛めの労働」というだけで済むわけですね。
そう言うわけで、繰り返しになりますが大戸屋は全くブラック企業ではありません。
きちんと残業代も支払っているし、45時間規制だって必死に守ろうとしています。むしろ残業したがる社員に会社側が焦っているようにも見える。かなり立派な企業だといえます。
ブラック企業の45時間規制への対応
ちなみに本物のブラック企業であるわが社は、45時間規制など完全無視です。「こんなものは女子供が守る法律」と公言し、相変わらず社員に100時間単位の無給残業を強いています・・。もともと社員の残業時間の報告(?)をごまかしているため、今更守る意味もないんですね。
あと、そもそもこの法律の罰則が
6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
と緩いものなので、捕まっても会社としてはむしろ得と思っているフシがあります。多分初回は罰金で済みますし・・・懲役になっても適当に社員一人を警察に差し出して終了じゃないでしょうか。
だって、僕1人の1ヵ月の残業代でも普通に支払ったら30万円なんて簡単に超えてしまうんですから、法律違反上等のブラック企業としては無視して罰金払う方がよっぽど良いでしょう。罰金のゼロの数が2つほど足りなかったですね。3000万円だったらちょっとは変わったかも。
ブラック企業には、大戸屋のような遵法意識もなければ倫理観もありません。なにより社員が全員萎縮し洗脳されており、状況を訴えるものは1人もいない。それこそが真のブラック企業です。
会社を挙げて法律を守ろうとする大戸屋は絶対にホワイトです。
大戸屋社長の叱責とパワハラ
放映された動画ではもう一つ、社長が店主を叱責する場面が問題になっていたようです。
「目が死んでるんだけど。本気でやっているように見えない」
と店主を詰める様子がパワハラだと問題にされています。
しかし批判している人は本当にちゃんとこの動画を見たのでしょうか?
社長の言い方だってマイルドだし、私にも店主が本気でやっているようには見えませんでした。
例えば、「人に教えることが苦手。だから棚卸しを全部自分でやり、ひどい残業になっている」という店主がいたんです。その結果残業時間が80時間とか90時間になってしまっていました。
これですね、誰でも「それは違うだろう」と思いますよね。本気で残業減らしたくて効率化するなら、まずはそういう業務や体制刷新に取り組むものでしょう?社長の目に「本気でやっているようには見えない」と映って、怒られるのはむしろ普通ですよね。しかも社長は大声で怒鳴ったり叩いたりしたわけではありません。普通に指導しているだけです。
私はきっと、この棚卸し店主は生活残業していたんだと思います。
大戸屋は残業代が出るから、人に教えるのが苦手とかなんとか言って残業代を増やすのが目的だったんじゃないでしょうか。
僕は飲食店で少しバイトをした経験がありますが、閉店後の棚卸しで時給が貰えるからかなりおいしいんですよ。
スピード勝負の調理とか、気を使いまくる接客なんかより、黙々と冷蔵庫相手に棚卸ししてる方が圧倒的に楽なんです。棚卸は凄く時間がかかるんですが、逆に残業代稼ぐにはうってつけの作業なんです。
もしこれが生活残業でなければ、店主のマネジメント能力はゼロだと言わざるを得ません。適切な方向にに業務改善努力をしているとは思えないし、僕が社長でも普通に怒ると思います。人に教えるのが苦手とか、そういう問題ではありません。組織的な運営ができないなら店主のポストを下りるべきです。
パワハラの話に戻りますが、社長の言い方だって優しいですよね。しかも最後には「残業を減らす努力をした者の給料が減るような仕組みにはしない」とか、結構優しいこと言っています。 店主にはマネジメント能力はなかったけど、この社長さんは叩き上げで登りつめただけあってまともな人間だと思いますよ。
ブラック企業のパワハラ
ちなみにわがブラック企業のパワハラはこんなものではありません。
人にもよりますが、恐怖感を与えるタイプの人だと、50センチの距離で話をしているにもかかわらず100メートル先まで聞こえるような大声で怒鳴りちらします。机バンバン叩きながら。しかも皆の見てる前で何時間も詰めます。
詰められている人が悪い悪くないにかかわらず、とにかく
- 「詰めたい気分だから粗探しをして詰める」
- 「なんとなくムカつくから詰める」
- 「詰めるのが習慣になっている」
こんな理不尽なことをやられた方は溜まりませんが、僕も1年間だけスーパーパワハラされました。毎日。大げさに言ってるんじゃないですよ。本当に毎日です。
結局この人は体の方の病気になって別の部署に行ったので助かりましたが・・・。
ところで、どうしてブラック企業にパワハラ上司の発生率が高いのかと言うと、きっとパワハラ行為が本人の精神的逃げ場になっているんだと思います。あとストレスのはけ口になっている面もありますね。
ブラック企業に入り長時間無給労働を強いられると、程度の差はあれ全員が精神を病んでいきます。その結果自ら命を絶つ人もいるし、僕のように金だけを精神的支柱にして現実逃避するタイプもいます。順応方式(?)は人それぞれ。
そして、自らの精神不安を外に放出するタイプもいます。これが強烈なパワハラを引き起こす一因で、とにかく他人を攻撃することによって自らの身を守るという心理です。
まぁそういうわけで、大戸屋社長の指導はパワハラではないですよ。あれは普通の指導だと思います。僕はこの社長さん好きです。
まとめ
みんな勘違いして大戸屋をブラックなどと叩かないであげて欲しいですね。放映を見る限りは本当にまともな企業だと思うし、遵法意識もしっかりしている。あれがブラックに見える人は相当幸せな会社にお勤めなんだと思います。
大戸屋の代わりに本物のブラック企業を潰す方向に声を上げていってもらえたら・・
僕たちブラック社員は45時間規制ができた後も変わらず奴隷労働をさせられています。僕の会社だけではありません、日本にはいくらでもあるのです。そういうところから助けてほしいな。
以上、いちブラック企業勤務者の願いでした。
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