皆さんの貯金は多い方でしょうか、少ない方でしょうか?やっぱり気になりますよね。
そこで家計の金融行動に関する世論調査による金融資産分布データを分析して、独自に加工してみました。
背景
野村総研の調査→かなりおおざっぱすぎ!
FIRE界隈ではかなり有名なこの調査。
- 超富裕層(5億円以上) 7.3万世帯
- 富裕層(1~5億円未満)114.4万世帯
- 準富裕層(5000万円~1億円未満)314.9万世帯
- アッパーマス層(3000万円~5000万円未満)680.8万世帯
- マス層(3000万円未満) 4137.0万世帯
お馴染みの分類ですね。様々な場所で解説されています。しかし…正直言って分類が大ざっぱすぎると思いませんか?
3000万円までは全員マス層な!!
はい、次は5000万円まで頑張って!
と言われましてもね。
幅が大きすぎて全然やる気出ません
流石にもう少し細かく分類してほしいです。でも数千万円クラスとなると細かく分類した信頼のおける統計はなかなかありません。
しかし私は見つけてしまったのです。インターネットの辺境にひっそりと転がっているデータを…。
金融資産分布算出方法
家計の金融行動に関する世論調査
金融広報中央委員会というところがやっている調査です。エクセルでデータや分析表も配布されていますが、こちらの資産分類もいまいち雑なんですね。
しかしよーく見たら…ひっそりと細かいデータが書かれているではありませんか。こちらのPDFだけに。
調査結果の一括ファイル(PDF)(二人以上世帯)
調査結果の一括ファイル(PDF)(単身世帯)
これの一番最後のページです。妙な注釈っぽい書きっぽい書き方(?)で金融資産保有額別世帯数がかなり細かく載っていました。世間ではあまり活用されていない様子?
金融資産保有額別世帯数(二人以上世帯&単身世帯)
というわけでこちらがその画像コピーです!
100万円刻み→200万円刻み→500万円刻み→1000万円刻み
と良い感じですね。ただこのままではイマイチわかりにくいし、母集団が二人以上世帯と単身世帯に分裂しているので、正確な金融資産分布を算出するには少し操作が必要です。
無回答を除く世帯数はそれぞれ
- 二人以上世帯 → 4832世帯
- 単身世帯 → 2440世帯
ですが、これらを公平に合体させる操作が必要となります。
日本の実世帯数で比例配分
というわけで、実世帯数の補正には令和2年国勢調査を使って比例配分で補正しました。
令和2年国勢調査
これによれば
- 二人以上世帯 → 3455.4万世帯
- 単身世帯 → 2115.1万世帯
これで先ほどの資産分布を按分すれば、かなり現実に近づくはずです。
算出結果
まずは按分を行った、貯蓄階層ごとに所属している世帯の割合。
これはこれで有用なデータなのですが、ちょっとわかりにくいですね。
これを累積型にまとめ直し、
- 平均値
- 推定中央値
- 独自算出のFIREレベル
を付記し、面倒なことは全てすっ飛ばしてグルグルっ!と計算したものがこちらです!
ご査収ください
独自算出!日本人世帯の金融資産分布
完成です!!
グラフはこんな感じに整理。
これで我が家の貯金が日本でどのくらい多いか、すぐ分かります
自分の貯金額を横軸で探したら、そこにある棒グラフで上位〇〇%まで達成していることがわかりますね。
それはわかったが、FIREレベルって何なんだよ?
あとお前すぐ修羅って言うよな…
はい。FIREレベルには遊びで作ったわけではなく、横軸が均一ではない(飛び方が途中で変わる)ため、等間隔性を視認できるように追加したものです。親切ですね。最後の修羅はまあカッコいいからです。十段よりこっちの方が良い!
それでは少し追加情報を書いて記事を終わりましょう。
考察、追加的情報
1. 金融資産とは何か
これが気になるところだと思います。何を含んで何を含まないの?家は入れていいの?借金はどうなるの?貯金箱の金も全部数えるの?などなど。
この調査における『金融資産』とは下記とされています。
定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く
簡単に言えば、
- 事業で持っているお金→いれちゃダメ
- 家や土地やロレックスとか→いれちゃダメ
- 日常的に使う財布の金など→いれちゃダメ
ということになります。算出するときは注意しましょう。
なお、住宅ローンなどの借入金は別の調査項目で捕捉されているので、相殺しなくて良いです。
つまり銀行貯金に2000万、ローン残債500万なら、あなたは2000万です
2. 調査対象者の属性
調査対象者の属性は
- 世帯主の年齢が20歳以上80歳未満
- インターネットメールを送付して指定URLに飛びwebで回答
ということでした。
野村総研の調査より富裕層が少なめなのは、このバイアスがかかっているせいかもしれません。すなわち、メールを見てwebで回答する…というのは、お金持ちの超高齢者を補足していない可能性がありますね。
3. 億り人を超える修羅の者たち
本調査の上限は1億円。もっと富裕層のデータはないのか~?というコメントもやんごとなき方からいただきそうなのですが、結論から言うと、、、ありません!
というわけで野村総研の5億円までぶっ飛んでください。
ただ、2億り人、3億り人は間違いなくスーパーレアです。今回の分析では
1億円以上 → FIRE修羅
を最高位の分類としましたが、2億3億の人はFIREエンペラーでもFIRE四天王でもFIREゴッドでも好きに名乗って無双してください!
なお参考までに…
野村の5億円は0.13%、弊調査の1億円は1.28%です。2億3億の人は、概ねその間の0.7%とか0.5%とかになると思います。まさにゴッド!凄すぎです。
まとめ
以上、今回はかなり細かめの金融資産分布を算出することができました。アッパーマス層とか準富裕層とかでざっくり切られるより、細かい目標やベンチマークが分かったほうが貯金をする気にもなるというものですからね。
本記事が新進のFIRE修行者の一助になれば幸いです。
ところで最後になりますが・・・
筆者(絶対仕事辞めるマン)はツイッターもやっています!
最近は一日中やってるみたいだな
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おわり
こんにちは。one more year syndrome の人です
ここまで出ているのであれば近似関数欲しいですね。修羅層の細分化も出来そうですし。
>tthさん
ご無沙汰しております!
近似でありますが、x万と、シェアy%という事にすると、
y = 31.972x^-1.133
の累乗近似がかなり一致しています!決定係数は
R² = 0.894
と、非常によいですね。
この式に当てはめれば修羅層の推定も当たらずとも遠からず‥‥かもしれません。
また続きの記事とかもかくので、よろしくお願いいたします!
Laです。
早速の丁寧なレスありがとうございます。
ご説明くれた資産別の分布統計の正確性云々については確か別ブログ記事でも二つの統計を基にお話しされてましたよね、ポイントはそれと同じということですね。偽装はどちらかというと億を越えている方が警戒して億未満に過小偽装しているのではと訝っていましたが、もっと下のあたりの方が怪しい感じなのですねー。
退職申請書の方は、鋼の意志力の辞めるマンさんでさえ、ラストエリクサー症候群(fire界隈ではone more year syndromeとかいうらしい)に襲われたのであれば、私ごとき覚悟の弱い人間が悩むのは仕方ないのかも。。
私も退職メールを書き終えいよいよ送信する段になったところの最後の最後逡巡してクリックできませんでした。。
私はハイパーインフレまでは考えませんでしたが年金支給が70歳になって資産取り崩しスピードなど、老後将来の見えない不安は探せば探すだけ出てきてしまうんですよね。その前までに何回も考え、100%の安心などなくと割り切るしかないと寸前までは冷静に考えていたのに。。辞めるマンさんが夜中に飛び起き確認し尽くしたExcel計画表を再度確認したという気持ち大変理解でき共感します。
辞めるマンさんのブログやTwitterに集いここを最後乗り越えた先達の皆さん方の最後の最後、後戻りできないアクションをしたその時の心境を聞いてみたいです。
私が普通の方々に比べ現状変化に対する耐性がかなり低いというのは自覚しておりますが。。
>Laさん
返信がおくれ申し訳ありません!最近膨大なスパムメールのため発見が遅れております><
退職メールまで書いたのに出せませんでしたか。私も気持ちはよく分かります・・・
どんなブラックでも、我慢して在籍さえしていれば一応生活は保障されますからね・・・
私も最後の最後の心境をFIREマンに聞いてみたいですね。Laさんがもし提出したら、その時もぜひご心境を教えてください!
またよろしくお願いします!
Laです
久しぶりのブログ更新、お待ちしておりました。
我々日本人はランキングやヒエラルキー分類がもとより好きなので私なんかも興味が引きつけられるのですが、この手の個人からのアンケートというソースからの信憑度というものに対して個人的には少し疑いの目を持ってしまいます。
いくら絶対仕事辞めるマンさん側で厳密に処理したとしても俗にいわれる「ゴミ箱からはゴミしか生まれない」というやつです。辞めるマンさんも記事で、当該アンケート方式により野村総研の対象母体含有の層を取りこぼしている可能性推察をされておられましたが、それ以前にそもそも回答者は正直には回答しているのかという疑念です。保有資産が多ければ多いほど、よくわからない出自のアンケートや個人的メリットがないものに無記名としても易々と保有資産を伝えるだろうかというところです。私であれば警戒して過少にして悪目立ちしないよう無難回答をします(最近物騒ですしね)。
もちろん逆にブラフで過大に回答する方もおられるでしょうが、統計上の補正云々は私も素人なのですが恐らく突飛な回答による歪み補正しかできないのではないかと…なので実際は金融資産多い世帯はもっと多いのではないかと少し疑っております。というわけで、上位に自身が位置することをみて安寧を得る一方で、いやいやそんな疑いも感じたり…
ところで
twitterの方も拝見しております。私のアカウントが非公開なためコメントしても辞めるマンさんには届かないのでコメントしておりませんが、最近の辞めるマンさんの呟きで是非コメントしたい内容がありました。そちら場所を変えてこちらで伺って良いでしょうか?
「昔の早期退職希望届」にダミーで記入した際に感じた「怖!もう後に引けん!」と不安を感じたというtwitterありました。その不安感の正体は何だと自己分析されてますか?
辞めるマンさんがどれだけ思い焦がれ年密に計画実行されていたのかも我々は十分に知っています。そして、ちょっとやそっとのことで揺らがない鋼のメンタルの持ち主でいらっしゃます。実質的にはもうFI達成されており今は自信の見栄のためだけの億り人に一度はなるというのが残された未達成目標、しかも後700万円程度となった今去来した不安の気持ちは何だったのでしょうか?
机上と実際の生々しさは違っていて、辞めるマンさんもブログの中でおっしゃっていた「ラストエリクサー症候群」の高まりによる不安でしょうか?
実は私はこのあたりに今大変苦しんでおり、辞めるマンさんが不安になった理由を是非お伺いできればと思っております。お答えいただけると幸いです。
長文失礼しました。
>Laさん
久々の更新なのにお返事いただけありがとうございます!
そうですね~、このソースの信頼性について、金融資産額を偽装している者が混ざっていることは確実です。
割合を見るとわかるのですが、具体的には特に300万、500万、1000万、1500万、2000万(、あと多分3000万)に偽装している人が多いですね。
元々いくら持っている人なのかはわかりません
一定割合こういう人はいるのですが、統計全体がデタラメなのか?というとそこまでは言えそうになく、変なデコボコがありながらもちゃんとなめらかに分布してるんですね。
なんかエクセルで累乗近似というのをすると異様に一致して、多分現象としてはマイナスの指数関数みたいになってるんだと思います。
資金量が増えるとまさに数理的な意味で一定の加速度で人数の割合が減っていく様子が、よく表現されているんですね~
皆がデタラメに答えていたらこうはならなさそうで、まあ、いくらか人為的な誤差があるのは確実だけど8割くらいはあってるんじゃないかな…くらいで使うと有用かもしれません。
退職申請書は、あまりにもリアルなので「万が一あと1年給料を貰いたくなってももう差し戻せないぞ!」「これ出したら部長怒るだろうな~」「提出した瞬間にハイパーインフレになって貯金がカミクズになったらどうしよう」「一生結婚しないことがここで確定します!」みたいな感じですかねw
Laさんもすんなり退職願を出せるよう頑張ってください!
Laです。
すみません。こちらのコメントに返信すべきところ匿名新規コメント投稿した形になってしまいました。